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2010/07/26(月)

【#78】マスコットコミュニケーション考

 最近球場で僕に会った事のある方、グリーティングの最中、アテンドがお客さんに対して「B・Bに直接声を掛けてくださいね」ってよく言ってるのを耳にした事があるんじゃないかと思います。実はこれ、僕がここのところずっと意識してやっている事なんですね。
 どういう事かと言うと――僕が球場内を歩き回りながらグリーティングしている最中、僕じゃなくアテンドに向かって「写真撮っていいですか?」って尋ねて来るお客さんがすごく多いんですよ。だからそんな時にはまず、「私じゃなくB・Bに、直接聞いてみてくださいね」って促すように、アテンドにお願いしてるんです。
 こういう状況が目立つようになってきたのは、ここ1~2年くらいの事でしょうか。一昨年から僕は、列を作らず球場内をフリーに歩き回るスタイルでのグリーティングの割合を増やしたんだけど、この形でやるとそういった人がすごく目に付くんです。僕も出来ればあんまり細かい事言いたくはないし、最初は特に何も言わず応対してました。でも、だんだん見過ごせなくなってきた。結局そういう人って、最初から最後まで僕とは何の「コンタクト」もないまま終わってしまうケースが大半なんです。例えば向こう側から歩いて来たのに、僕とは視線も合わさず目の前を素通りして、わざわざ後ろにいるアテンドに「写真撮っていいですか?」とお願いする。で、写真を撮る時だけ僕の横に立って、撮り終わったらアテンドに向かってお礼を言って去って行く。その間、僕との間のコミュニケーションと呼べるものはほぼ皆無です。去年#70「思い出の残し方」で書いた内容にも通じるんだけど、さすがにこれはグリーティングのあり方としておかしいんじゃないか?と。そんな訳で、最近は僕と直接コンタクトを取ってもらうよう誘導してる訳なんですよね。

 こういった現象が起こる原因の一つとして、僕とアテンドとの「距離」が考えられます。僕は通常アテンドに、自分のすぐ近くにいるようにしてもらっています。これはお客さんとのコミュニケーションがスムーズに行くように、以前から意識してそうしてるんですけど、アテンドが常時手の届く所にいるのが、かえってアダになっているのかもしれません。どうもマスコットとの接し方に慣れていない人は、マスコットよりも「人」に話し掛ける方が楽みたいなんですね。
 マスコットとアテンドとの「距離」は各球団さまざまで、僕みたいにアテンドが常にベタ付きしているスタイルは、もしかしたら少数派かもしれません。他球団の場合、アテンドはちょっと離れた位置に立っていて、基本お客さんとマスコットとの直接的なやり取りに任せ、何かあれば駆け付ける――といった形が多いように見受けられます。確か某有名テーマパークも、そういったスタイルだったと思いますし…。
 僕も、「いつもアテンドがすぐ近くにいるから、どうしてもお客さんがアテンドにばかり頼っちゃうのかなぁ…?」と思って、時折実験的にアテンドと距離を置いて歩いてみたりもしてるんですよ。これなら、一緒に写真を撮りたい人は嫌でも僕に直接話し掛けるほかなくなりますからね。で、結果は――まぁ良し悪しですねぇ…。直接声を掛けてくるお客さんの割合は確かに増えるけど、アテンドが傍にいない事によるデメリットも多い事に気付くんですよ。何よりもまず、お客さんに向かって近くで元気に声を掛けてくれる存在がいるのといないのとでは、グリーティング中の活気と言うか雰囲気が、だいぶ違ってきちゃうというのがひとつ。それからやっぱり、小さい子供たちとかいわゆる「常連さん」とかとのやり取りの時も、ちょっと不便を感じたりもしますし。マスコットとアテンドとの距離に関しては、どちらが正しいという答はないですけど、少なくとも僕の場合、やっぱり近くにいた方が良いのかな、という結論に戻っちゃうんですよね。

 まぁそんな訳で、B・Bに直接声を掛けるよう繰り返し案内してもらってる今日この頃なんですが――そこでまた意外に感じるのが、そもそもマスコットにどう声を掛けていいのかわからない人が結構多いんですよ。「B・Bに声を掛けて」と促しても、どうしたらいいかわからずただモジモジするだけだったり、諦めてそのまま立ち去って行く人もいる。僕の肩をポンポンと叩いただけで「声を掛けた」事にして、サッサとアテンドにカメラを渡そうとする人も少なくないですね。それからちょっと不思議なのが、「ピ…ピクチャー、OK?」みたいな感じでなぜか英語になっちゃったり、僕らに合わせてなのか(?)カメラのボタンを押すジェスチャーしながら、ただ無言のまま目で訴えてきたりする人も時々いたりします(笑)。
 うーん…マスコットに声掛けるのって、そんなに難しいですかねー?(^^;)大の大人がマスコットに…とか、そういう気恥ずかしさもよく分かるんですよ。でも、ほんとごくフツーに友達感覚で「一緒に写真撮っていい?」とか「ありがとう」と言ってくれれば、それで充分なんです。僕らが一番リアクション取りやすいのは、変に気負われるよりも普通に話し掛けてくれる人達なんですよね。練習中の選手に声掛けるのは気が引けるかもしれないけど、僕らはお客さんとふれ合う為にグリーティングに出てるんです。最初は恥ずかしくても、とにかくまずは普通に接してきてくれれば、喜んでそれに応じますって!

 こういうのって、北海道特有のファン気質なのかなぁ…と思ってたんですが、他球団の人に聞いてみると、全国どこでも似たような現象が起こってるみたいですね。思うに、これもある種、現代文明のもたらした弊害なのかなぁ…?と。今の世の中、携帯だブログだツイッターだ…と、情報技術はどんどん発達してコミュニケーションが容易になってきてますよね。でもその一方で、人と人とが面と向かった時のコミュニケーション能力は、逆に退化してきてるような気もするんです。普通の人とのコミュニケーションさえ不得手なのに、ましてやマスコットとの会話なんてどうやったらいいの?――って人が増えてるのかなぁ…と一人で勝手に分析してるんですが…果たして真相はどうなんでしょうか?
 ただ僕は、マスコットにとってグリーティングの場で一番大切なのは、お客さんとの「コミュニケーション」だと思っています。目を合わせて、一言でもいいから会話を交わして、出来れば別れ際には握手もして――。ただ写真さえ撮れればいいから、そんな面倒臭いこと押し付けないで!って声も聞こえてきそうだけど、それならただの等身大パネルとかぬいぐるみみたいな「置き物」と写真撮るのと大して違わないですよね?生きて動いているマスコットと写真を撮りたいと思うのは、お客さんの側もその「ライブ感」に何らかの魅力を感じるからなんじゃないでしょうか?
 ファンの方々が写真を一緒に撮ったり、コミュニケーションを取るべき相手はあくまで僕らマスコットであって、アテンドはあくまで「サポート役」。僕らはただ声を発して話をしないというだけで、お客さんの話も理解出来るし顔も見えてます。
もし次に皆さんがマスコットに会う機会があったら、まずはごくフツーに「マスコットに対して」声を掛けてみてください!マスコット達はきっと、気さくにリアクションしてくれるはずですから。